8月1日を過ぎて、Bitcoin Cashのハードフォーク(従来のHFとは異なる)が実行され、海外取引所ではBitcoin ABC(Bitcoin Cash)の取引も始まりましたね。
しかもBCCは暴落するなどと噂されていたにも関わらず、取引開始時間の8月1日午前3:00の始値0.03BTCから現在0.3BTC!!??
マネーゲームにしても上がりすぎでしょ?正直迷ったんですよ、BTCを置いておく場所。
どちらもBCCが付与されるみたいなのでBittrexかZaifか迷ったんですけど、結果自分のBTCはZaifでまだ気絶中・・おそらくBCCが配布されるのはもう少し先かも知れません。
BTCも入金はできるものの出金がまだできないので機会損失が・・・早く再開してくれーー!!マネーゲームでも参加したいんだ!!
ってかそもそも今回のビットコインハードフォークって何がどうなって騒いでいたの?と聞かれると結構長くなるので簡潔に書いておきます。
自分が調べた限りの認識なので間違っているかも知れません。ふわ~っとした認識ですので間違っている点がありましたら教えて頂ければ助かります。
ビットコインハードフォークへのいばら道
第1話 王者の弱点
ご存知の通り、仮想通貨の代表的コインはなんと言うコイン?と言われれば投資をしていない人でもビットコイン!!とドヤるくらいには認知されているのではないでしょうか?
ここまで広まったビットコインは実際に決済手段としても使用されていますが、今でもビットコインは完全な状態ではなく、さまざまな問題を抱えています。
そして利用者が増えるにつれ、その問題の1つであるスケーラビリティ問題が浮上してきました。
ブロックチェーンは1つのブロックに取引記録を書き込んでいき、10分経つと書き込み完了となり次のブロックを生成します。
ビットコインを入出金したことがある人は分かると思いますが、入出金の反映に約10分かかるのはこの為です。
ビットコインのブロックサイズ(容量)は上限1MBですのでデータ処理速度が遅く、1MBを超える取引があるとトランザクションの遅延や手数料の高騰が起きてしまいます。
このままビットコインが世界中に普及し取引が活発になると更にデータ処理が追いつかなくなるわけです。これがスケーラビリティ問題です。
「じゃあブロックサイズを大きくすればよくね?」
そう思うのが普通です。しかし、ブロックサイズを大きくする=大容量のブロックを保存する端末が必要となります。
どういうことかと言うと、ビットコインはノード(ネットワーク参加者)が各々にブロックを端末に入れて取引記録を監視し合い、その正当性を確立しています。
ですのでブロックの容量を大きくすれば、それを保存できる大容量端末も用意しなければなりません。
しかし、これでは特定の勢力(大容量端末を大量に確保できる資金力があるなど)にしかメリットがなく、ビットコインの開発目的である非中央集権から中央集権化してしまいます。
そこで、ブロックサイズはそのままの状態でデータを圧縮して空き容量を確保しよう!と言うのがSegwitと呼ばれるスケーラビリティ問題に対する解決策です。この方法(ソフトフォーク)なら分裂も回避できます。
第2話 ビットコインコアとビットコインアンリミテッドの対立
ビットコインコミュニティにおいて、今のところ安全にスケーラビリティ問題を解決するにはSegwitしかないとビットコインコア派は思っていました。
しかし、コミュニティ内でこのSegwitに対し異議を唱えるが、後のビットコインアンリミテッド派です。
ビットコインアンリミテッド派は、ビットコインのブロックサイズ上限自体を撤廃し、ブロックサイズを可変的に決定するシステムを採用するハードフォークを主張しています。
第3話 マイナーの思惑
ビットコインブロックチェーンはマイナー(採掘者)によって管理されています。マイナーが取引記録をチェックし、その処理速度が速い人に報酬としてビットコインが与えられます。ようは処理速度が速ければ速いほど儲かるのです。これがマイニング(採掘)と呼ばれる作業で、専用のマイニングマシンを用意し、24時間稼動させてビットコインを掘っているのです。
しかし、日本でマイニングマシンを毎日24時間も稼動させていると、掘ったビットコインの日本円換算よりも電気代の方が高くつきます。
初期、マイナーが少ない段階からマイニングしていた人はその恩恵を受けていると思いますが、今から個人で、しかもビットコインをマイニングするには電気代の高い日本では適していません。
ここで登場するのが中国勢です。マイニングシェアは今でも圧倒的に中国がトップです。理由は電気代の安さと、広大な土地を利用しマイニング専用施設を作れるからです。
このことから、ビットコインマイニングに関わる障壁=Segwitと見なす勢力が見えてきます。
一部のアンリミテッド派はビットコインでハードフォークを行い、分裂したBTUと言うコインを主流にする計画でした。そして勝手に新しいブロックを掘り出します。
結果、新しいブロックBTUが採掘できたのですが、そのBTUはバグが発覚し、皮肉にもSegwitを支持するコア派から指摘を受ける始末でした。
この一部のアンリミテッド派による失態を見て各取引所は、分裂のないソフトフォーク、Segwitを支持すると発表しました。
第4話 押し問答
コア派とアンリミテッド派の対立は相変わらず両者睨み合いの状態でした。
しかし、コア派は考えました。「なぜそこまでSegwitを反対するのか?」
そして、アンリテッド派がなぜSegwitを拒否するのか真実が明るみに出ます。
ASIC BOOSTです。ASIC BOOSTとはBitmain社が製造するマイニングマシンに組み込まれた特許技術で、ビットコインの計算を30%~40%アップすることができる技術です。そしてBitmain社は世界の7割近くのASICを製造しているのです。
しかしこのASIC BOOST、Segwitに対応してません。
謎が解けたと言わんばかりにコア派はこの件に関してアンリミテッド派を問い詰めます。
しかし、アンリミテッド派はマイニングにASIC BOOSTは使用していないと主張。
Segwitに対応していないASIC BOOSTは、誰もが平等にマイニングできるという公平さを欠き、しいては中央集権化を招く恐れもあります。
ビットコインにはSegwitが重要な課題であるのは言うまでもありません。仮に今から何度かソフトフォークを行った場合、ASIC BOOSTはその都度足枷になります。
コア派は「マイニングにASIC BOOSTを使用していないのならばSegwitしても問題ないですよね?」とアンリミテッド派に問いかけますが、依然としてSegwitを拒否。
業を煮やしたコア派は、8月1日にSegwitをUASF(ユーザー・アクティベート・ソフトフォーク)として実行すると発表したのです。
BIP148(UASF)は大多数のマイナーの支持を得ずに発生させるソフトフォークですので、混乱を招くのは容易に想像がつきます。
もちろんアンリミテッドは「そっちがその気ならこっちも黙っちゃいない」とばかりにハードフォークを実行すると反発します。
第5話 仲介者
「いつまで睨み続けるの?」と言わんばかりに両者睨み合いの中、仲介者が現れます。
ビットコインとブロックチェーン技術への投資で知られる、デジタルカレンシーグループ創設者バリー・シルバートです。
バリーが両者に提案したのはSegwit 2xと呼ばれ、Segwitを実装していながら、6ヶ月以内にハードフォークを行うというものでした。
第6話 その後
このSegwit 2xを何故かアンリミテッド派は拒否せず、結局Segwitでは埒が開かないのでSegwit 2xを行う方針で話は進みます。
しかし、後にSegwit 2xの開発者の1人がASIC BOOSTの考案者と言うことが分かります。
コア派は、Segwit 2xではASIC BOOSTが使えるのでは?と言う疑心暗鬼を持ったまま、7月23日にはアンリミテッド派の同意を得てBIP91(Segwit 2x)がアクティベートされました。
UASFは回避できた言うことで、特に混乱もなく翌日には各取引所で交換が行われました。
「じゃあ、8月1日のハードフォクは何か?」と言うと中国大手マイニングプールのViaBTCがBitcoin Cashの立ち上げを宣言し、8月1日からのマイニング開始を発表したのです。
だだ、従来のハードフォーク(ビットコインブロックチェーンの完全な仕様変更)とは異なり、分岐前のビットコインブロックはそのまま引き継がれ、新たにビットコインキャシュのブロックが生成されるといったものです。
Bitcoin CashのハッシュレートはBitcoinの1.5%程度しかなく、ブロックを採掘するまで時間を要します。
このことから、Bitcoin Cashはマイナー達の支持をあまり得ていない状況です。
Bitcoin CashはBCCまたはBCHの表記になります。海外取引所ではBCC、国内ではBCHで表記されていますね。
あとがき
ここまでが今回の8月1日ハードフォークまでの経緯です。
自分も、仮想通貨投資をする上でこう言った大きいニュースのことくらいは勉強しておかないと話についていけないので、いい機会となりました。